仕事効率化や問題解決、そして思考力を鍛える最短な方法はフレームワークを学ぶことです。特に外資コンサルタントが日常で使う思考の枠組みを利用することをおすすめします。なぜなら、コンサルタントは業界きっての高度な基礎ビジネススキルの持つ職業だからです。
今回は、品質の高い仕事術を聞き出すために、マッキンゼー、ボストンコンサルティング、PwC、アクセンチュアの現社員にインタビューをしてきました。その結果を、外資コンサルタントが実践している戦略術40選を厳選して紹介いたします。
新規立案・問題解決能力を高めるためのビジネススキル
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングとは、論理的に物事を捉え、ある事象の問題点を見つけそれを解決することに使われます。どんな業界のビジネスマンでも必ずと言っていいほど必要なスキルになります。
この能力を習得すると、以下のことができます。
- 自分の話を分かりやすく伝えることができる
- あらゆる問題の原因を合理的に見つけ解決できる
では、ロジカルシンキングとはどのようなものでしょうか。
- MECEに物事を捉える
- So Why? So What?で物事を掘り下げる
上記二つの項目が、論理的思考の構成要素となっております。
MECEは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で物事の構成要素をモレなくダブりなく洗い出すことです。
例えば、世の中の人を性別といった切り口で分けると男性、女性、その他となります。次に、世の中を年齢で切ると、0~10歳、10代、20代、…となります。
このように、重複しないことを意識して構成要素ごとに分解すると真の原因を発見ししやすくなります。
So Why?So What?はある物事をそれはなぜ?だからなに?と掘り下げていくことです。
例えば、A氏は野菜が好きです。
これに対して、それはなぜ?と聞きます。
その答えに対し、だからなに?と意味を聞きます。
野菜が好き⇒それは、ヘルシーだから
ヘルシーだからなに?⇒健康によいから
このようにどんどん掘り下げていって最後に掘り当てたものに価値があります。
デザインシンキング
デザインシンキングは、2018年から徐々に注目を浴びてきています。
ロジカルシンキングと反対で物事をクリエイティブに捉えていきイノベーションの創出を促すものです。
とにかく、idea勝負で物事に正解を求めないことが特徴です。
従って、物事を解決してくロジカルシンキングとは毛色がことなるものです。
SCQ(Situation、Complicated、Question)
SCQは、相手に何が問題であるかを意識させるフレームワークです。
Situationで、相手に状況を説明し
Complicatedで、その状況が相手にとってどのような意味を持っているかを認識させ
Questionで、真の問題提起を行います。
実は、この流れはパワーポイントの作成時にも有効です。
詳しくはこちらで解説しています。
新規立案・商品開発に使うフレームワーク
オズボーンのチェックリスト
オズボーンのチェックリストは、アイデア出しに有効なフレームワークです。
9つのチェックリストに答えると、別の視点で物事を捉えることができます。
- 転用(Other Use)
他に使い道はないか?
今までの新しい使い道はないか?
少し変えて他の使い道はないか? - 応用(Adapt)
他からideaを借りれないか?
似たようなideaはないか? - 変更(Modify)
変えてみたらどうか?
形式・意味を変えたらどうか? - 拡大(Magnify)
大きくしてみたらどうか?
何か加える?
頻度を多くする? - 縮小(Minify)
小さくしてみる?
分割してみたどうか?
一部をやめてみたらどうか? - 代用(Substitute)
他のもので代用できないか?
材料変更?人材変更? - 置換(Rearrange)
入れ替える?
原因と結論を入れ替えたらどうか? - 逆転(Reverse)
役割を逆にしたらどうか? - 結合(Combine)
目的・ideaを結合したらどうか?
リーンスタートアップ
米国シリコンバレーの新フレームワークでありリーンスタートアップは、製品が完成していなくてもサービスとして市場に出すというものです。
そこで、顧客の反応をみて、自社の製品のメリット・デメリットを客観的に把握します。
その反省を生かし改良版として、製品を出し顧客の反応を見ます。
このサイクルを繰り返す、つまり小さな失敗を積み重ね最後に成功させます。
競争戦略に使うフレームワーク
ランチェスター戦略
ランチェスター戦略とは、原理的には戦争や戦で用いられていた強者・弱者戦略をビジネスに応用したものです。
具体的には、弱者が強者に勝つにはどうすればいいかという観点を教えくれる戦略です。
例えば、市場シェアにおいて、A製品はシェア率1位の強者、B製品はシェア率8位の弱者とします。
B社が、A社に勝つにはどうすれば良いでしょうか。
競争の基本原則として、「垂直差別化」を行います。しかし、弱者が強者と同じ土俵で戦っても結果は想像にかたくありません。
したがって、弱者でも勝てるポジションを探す必要があります。
そのポジションを探す手がかりは以下の要因から探しましょう。
- 商品特性
- 販売経路
- 価格
- ターゲット
強者とは違うターゲットにし、例えば、顧客像を50代の未亡人に絞り、一点集中するようなイメージです。
ブルーオーシャン戦略
ブルーオーシャン戦略とは、単純に競合がいない(弱い)、かつ市場ボリュームがあるポジションを指します。
この戦略は、競合が弱ければ勝つ見込みがあるので参入しやすいのでビジネス的に成功しやすいです。
一方、レッドオーシャンは、競合が強くかつ、市場も飽和している状態のポジションを指します。
市場参入の際にレッドオーシャンに飛び込むのはかなり無謀です。
アマゾフの成長マトリクス
アマゾフの成長マトリクスは、「イアン・アイゾフ」によって提唱された事業の成長・拡大を評価する際に用いるマトリクスのことです。具体的には、事業の成長を「製品」と「市場」の2軸におき、さらにその2軸を既存と新規に分けて計4軸で事業を評価します。図を見てもらえると、わかりやすいと思います。
あなたの製品が、4つの領域うちどれに当てはまるかを考え各ポジションに応じた戦略を考える必要があります。
ポーターの3つの競争戦略
マイケル・ポーターは、競争戦略を考える方法は大きく分けて3つあると提唱しています。それは、以下の3つです。
- コストリーダーシップ
- 差別化戦略
- 集中戦略
それでは、それぞれを見ていきましょう。
「コストリーダーシップ」とは、事業の経済的コストを他の協業するであろう企業を下回る水準にまで下げるというコストで差別化を図る戦略です。
「差別化戦略」とは、他社の製品と自社の製品を比べ、顧客の視点で自社製品が他社の製品より価値が高いと認識されるために行う戦略です。
「集中戦略」とは、企業が特定の顧客層や地域などの部分的なセグメントに絞り、リソースを投入する戦略です。
SWOT分析
SWOT分析は、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つ指標で事業を分析することです。それぞれの4つの領域で、思い当たることをブレインストーミングしてみましょう。
PEST分析
PEST分析は、事業のマクロ分析を行うために使われる分析ツールです。「Politics(政治)」、「Economy(経済)」、「Society(社会)」、「Technology(技術)」の4軸で分析します。
特に、社会の変化に注目して調べていくことがポイントで、必ず世の中において変わる部分と変わらない部分があるので、そこをしっかり把握することが大事です。
バリューチェーン分析
バリューチェーンとは、自社や競合他社の製品の事業を、原材料の調達からそれを作る過程、出荷、納品というお客にサービスが届くまでの流れを洗い出し、分析する手法です。
この手法のメリットは、どの工程にどのぐらいのリソースがかかっているかを見える化することができ、効率化を図る際にとても有効となる分析方法です。
VRIO分析
VRIO分析とは、「経済価値(Value)」「希少性(Rarity)」「模倣可能性(Inimitabiity)」「組織(Organization)」の4つの指標から、経営資源を分析する手法です。
競争優位性を比較することを主目的に置いています。
マーケティング戦略
STP分析(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)
STP分析とは、マーケティング戦略を考えるうえで絶対的な基礎となる考え方です。
基本的に、マーケティング戦略の上で重要なことは、市場選定、顧客選定、その中での自社の立ち位置を順を追って丁寧に決めることです。
セグメンテーションでは、まずどの市場に参入すれば最適化を考えるフェーズです。外部環境、内部環境、強み、弱みなどを上述した、PEST分析やSWOT分析を用いて紐解いていきます。
続いて行うべきはターゲティングです。
ターゲティングとは、セグメンテーションで選択した市場に対してどの顧客を狙うかを考えます。
この顧客選定に過程で、利益が上がるようなマネタイズ方法が微妙となれば、すぐにセグメンテーションのフェーズに戻りましょう。
最後にターゲティングが決定したら、自社の立ち位置(ポジション)を決めます。
ポジション決めるとは、競合と比較して顧客からどのように認識されるかを考えることです。例えば、鉛筆を売り出すとして、競合と比べて、「値段が安い」「ものすごく書きやすい」と認識されるような立ち位置を撮るのです。
やっと、このセグメンテーション→ターゲティング→ポジショニングの流れでマーケティング戦略の基礎中の基礎が終わるのです。
マーケティングミックス
マーケティングにミックスという言葉がついているぐらいなので何かをぐちゃぐちゃとかき回すイメージがあると思います。そのイメージで正解です。
主にマーケティングの手法を目的に応じて組み合わせることを言います。
このマーケティングミックスと同列で語られるのが、4P、4C分析です。
- 4P分析は売り手(企業)の視点(Product/Price/Promotion/Place)
- 4C分析は買い手(消費者)の視点(Consumer/Customer cost/Communication/Convenience)
と言われております。
PPM分析
PPM分析は、ボストンコンサルティンググループが開発した独自手法です。
自社の製品や事業を「金のなる木」「スター」「問題児」「負け犬」の4つの領域に分類して、今後の事業戦略を考えるものです。市場の成長率と市場の占有率の二軸で判断します。(※以下の図を参照)
フリーミアム
自社のサービスを基本的には無料で提供して、その分を広告収入でマネタイズ化します。しかし、このマネタイズ化はかなりの技量と高度なビジネスモデル設計が必要となります。
プロダクト・ライフサイクル
プロダクトライフサイクルは、言葉通り「製品が市場に爆誕してから売れて、廃れるまでの一連の流れを表したものです。主に4つのフェーズに分けられます。導入期・成長期・成熟期・衰退期の各段階に応じて、企業がとるべき戦略が変わります。
キャズム理論
キャズム理論は、製品が導入期で成功した後、成長期に入る前の溝(キャズム)で墜落してしまうことをいかにマーケティング戦略で防ぐかを語っている理論となります。
ロングテール戦略
ロングテール戦略は、パレートの法則に基づいて考えられた戦略です。パレートの法則とは、売上の8割を2割の商品が生み出しているという法則です。
これを利用して、ニッチな商品に力を入れることが、実は利益に繋がるという示唆を与えてくれています。
サブスクリプション戦略
サブスクリプション戦略とは、顧客に定期的に購読させ月額で料金を請求する戦略です。主な使われ方として、あるサービスの利用する最初の月は無料で、その後2カ月目以降は有料にして課金していくビジネスモデルがあります。
この戦略は主に、NetflixなどのFOD動画を作成する会社の戦略として使われています。自社のサービスがいかに魅力的であるか、長期間使いたいと思わせるかがポイント。
プラットフォーム戦略
プラットフォーム戦略とは、「他のプレーヤー(企業、消費者など)が提供する製品・サービス・情報と一体となって初めて価値を持つ製品・サービス」を用いる戦略である。プラットフォーム戦略で重要となってくるキーワードは、「規模の経済」「先行優位性」「ネットワーク効果」である。これらの、プラットフォーム戦略の特性をしかkりと把握したうえで理解を進めていきましょう。
シェアリングエコノミー戦略
シェアリングエコノミーとは、モノやサービスを第三者と共有して使用することである。自動車の貸借りを推進するようなカーシェアリングや、個人間のモノの貸借を仲介しるようなサービスが台頭してきています。
ジョブ理論
ジョブ理論とは、簡単に言うと人がモノを買う原理を説明するものです。ここで言うジョブとは、ある特定の状況下で成し遂げたい進歩のことを指しています。
ブランド・エクイティ
ブランド・エクイティとは、あるブランドが持っているブランド力(資産価値)のことを指しています。たとえば、バーバリーの財布といった場合、財布自体の価値にバーバリーというブランド名の価値型されて高価な値段になっていますよね。
これが、ブランド力を育てた結果、本来のサービスの価値にプラスしてブランドの資産価値が増えます。
インフルエンサーマーケティング
今はやりの、インスタグラムやツイッターで、フォロワーが多くて発言力に影響力があるような人をインフルエンサーと呼びます。そのインフルエンサーの影響力を利用して企業は自社のサービスをインフルエンサーに紹介してもらい認知度をアップするような戦略をインフルエンサーマーケティングと呼びます。
イノベーションを高める4つの理論
イノベーションのジレンマ
シェア率No1になった企業が、自社製品の改良ばかりにリソースを費やして、消費者のニーズの変化に気づかず失敗すること。
オープン・イノベーション
企業や大学・研究機関、起業家など、外部から新たな技術やアイデアを募集・集約し、革新的な新製品(商品)・サービス、またはビジネスモデルを開発するイノベーションを指します。社内資源に依存せず、あらゆる枠組みを超えること
リバース・イノベーション
新興国ではやった技術やノウハウを先進国に横展開すること。
バリュー・イノベーション
ブルーオーシャン戦略において、価格を下げながらも同時に価値を向上させようとすること・
ゲーム理論と行動経済学で優位に立つ
プロスペクト理論
プロスペクト理論は、人の損をしたくないという心理を考慮している理論です。
人は、リスクを嫌う生き物であります。必ず損をしたくないと気持ちがあるのです。
たとえば、コインゲームでお金がもらえるギャンブルがあったとします。
- 表なら100万円獲得
- 裏なら50万円損失
この条件があった場合、あなたならどうしますか?もちろん、コインゲームを行わないという意思決定もあります。この場合、確実に20万円もらえるのです。
さて、多くの人がこの問いに対してコインゲームを行わないという選択を取ったでしょう。しかし、実は確率論の話で言うと損しているのです。
コインゲームを行った方が実は期待値的には多くもらえるのです。人は直感で損得を判断しやすい傾向があるので、この心理を利用してビジネスを行うと、消費者が行動してくれやすくなるのです。
確率論の話を聞きたい人はこちらの確率の話で理解を深めてください。
期待値=100万円×0.5(コインの表が出る確率)ー50万円×0.5 = 25万円
つまり、コインゲームをすることで理論的には25万円が獲得できるのです。
フレーミング効果
同じものでも、見せ方を変えるだけで印象がガラッと変わる心理作用をフレーミング効果といいます。
例えば、以下の2文を見比べてください。
- 絶対受験合格!本気スイッチアカデミー
- 合格率99%!本気スイッチアカデミー
どうですか、どちらにより魅力を感じましたか?
そうですよね、2番目ですよね。文章がちょっと違うだけでも相手に対しての伝わり方が全く異なるんです。この心理を利用して競合製品との差別化をしたり、プロモーション戦略で優位性を保つような見せ方ができるのです。
ナッジ理論
2017年にできたばかりの新しい理論体系です。ナッジ理論とは、心理学を用いて小さい刺激で相手の行動をガラッと変えるという理論です。
例えば、日本における事例として自転車の無断駐輪の撲滅にこの理論が使われていました。無断で自転車が置かれている場所に、一枚の張り紙を書いて置くだけで無断駐輪の数が激減しました。それは、「ここは自転車捨て場です。ご自由にお持ちください」と書いたのです。
すると、今まで無断で置いていな人はこれを見て、ここに自転車を置いたら盗まれる可能性があるという風に感じそこに置かなくなったのです。
このようにちょっとしたことで、相手の行動を操ることができるのです。
人は情報や感情に流されて行動するという心理を十二分に使っていることがわかります。
サンクコストで、もったいない感を出す
サンクコストとは、すでに回収が不可能なコストのことを言います。
サンクコストは埋没費用として認識されるので、人の意思決定に付きまとってくるのです。どういうことかというと、ちなみに、ここで言うコストは、お金だけでなく、費用も含まれます。
たとえば、ゲームセンターで、なぜかお金をかければかけるほど後に引けなくなってしまうあの感じを思い出してください。あれは、最初の100円を入れた瞬間から、あなたの脳裏には「さっき100円を入れたから次こそは取れるだろう!」と刷り込まれています。そのため、あなたはどんどんお金をつぎ込んでいきます。500円を使ってしまった段階であなたは強くサンクコストに縛られることになります。
「500円も費やしたんだから、ここでやめるのはもったいない。500円分をとり戻すためにももう一回やろう。」
つまり、サンクコストがある場合人間の心理的にもったいないという感情が生まれます。それを逆手にとってビジネスを進めるとかなり強いです。